直接飛んで来た方は、まず最初にへどうぞ。

































「まだか?まだ第4話は完成しないのか!?」
「いいからとっとと作れって言ってんだろぉ!」
「お願いだから早く見せて〜!」




そんな皆さんの声にお応えして、今日も元気にレビューです。





前回のあらすじ>






「チャラリ〜♪OVA舞-乙HINE Zwei2巻、好評発売中〜!」
「うげっ!予約するの忘れてたぁ!!」
「あ、あたしもぉ!ようやくニナちゃんが登場するのにぃ!」
「迂闊だったわ…。」


マシロちゃんの即位式が盛大に行われ、
その余興であるアリカちゃんとニナちゃんの進退を賭けた舞闘も始まりを告げた。
大方の予想通り、戦いは終始ニナちゃんが圧倒。一方的な展開となるのだった。
その一方で、マシロちゃんの命を狙い、ヴィント城に謎のサイボーグ戦士が侵入する。
マシロちゃんは武闘会場に居たため事無きを得たが、
侵入者を発見したぶぶ様との間で戦いが勃発するのであった。
開かれるぶぶ様の瞳孔、震え上がる視聴者、乱れ飛ぶ百九式波動球!
Mな視聴者がぶぶ様の視線で卒倒すると、それにつられてヴィント城も崩壊する。
連鎖は続き、空から黒いぷよぷよが大量に降ってきたため、
アリカちゃん達の戦いもやむなく中断されてしまうのだった。だが、
「へ、へへっ…オラ、ワクワクしてきたぞ!」と、口では強がりつつもピンチだったアリカちゃんは、
取り敢えず窮地を救われる形となるのだった。
しかし、今度は城の崩壊に伴い観客たちの真上に第一話の飛行機が落下。
「またぷよぷよか?」と思っていたほぼ全ての観客達は逃げ遅れるのだった。
そんな中、固まる観客やオトメの卵達を他所に、
アリカちゃんだけは夕日に向かうかのように飛行機に向かって走り出すのであった。
「この手に勝利を掴め、ファイト・オー!」
(どうでもいいけど前回のあらすじがやたらと長くなったような気がするので、
次回は短く纏めます。












ゴゴゴゴゴ・・・



バキバキ・・・



ズズ〜ン・・・!!!


ロープの支えを失い、舞闘会場へと倒れ行く飛行機。
鳥人間コンテストのダメ飛行機のように一直線に会場へと落ちると思われたその時、
突如として空中で動きが一時停止するのであった。
誰もが驚き、皆が
一体何処にあったのかと一時停止の標識を探して空を見上げると、
そこには飛行機を支える人物の姿があったのだった。




「「「あ、あれは!?」」」


「ハンド・パワー!」


「「「それはねーだろ!!」」」


ローブの力を上手く使って一人で飛行機を支えきるアリカちゃんだったが、
コーラルローブでは空を飛べないため、麻原彰晃のように空中に浮いて支えるその光景に、
皆は避難するのも忘れて見入り、口々に零すのであった。
「ハンドパワーっていうか、尻尾パワーじゃねーか!ん?尻尾かアレ??」
いいからとっとと避難しろ!




「くぅぅぅぅ……」


カァァァァ!!


「燃え上がれ、アタシのコスモォォォォ!!!」


「ハンド・パワァァァァァっ!!!!」


「掛け声は結局それなのね?」


それでも一人で必死の救助模様を繰り広げるアリカちゃんは、
皆を助けたいという想いを込めて、あらん限りの声を振り絞って叫ぶのであった。
テメェ等とっとと逃げろって言ってんだろがぁ!
すると、それに呼応するかのように蒼天の青玉が一際眩く輝き出し、
アリカちゃんとアリカちゃんが纏うローブが青く光って飛行機を押し返し始めるのであった。



「ハンドパワーだと?そんな奇跡みたいな事が、
今、私の目の前で、実際に起こっているというのか!?」



「キャ〜!ハンドパワーだってぇ〜!」
「うっそマジ?すっご〜い!!」



「非科学的ねぇ〜…。」


「パクリどす!Mr.マリックのパクリどすえ〜!」
「あかねちゃ〜ん!!」



しかし、一向に逃げようとしない観客達だった。
むしろ今度は「ラピュタ?ラピュタなのね!?」と、光りだしたアリカちゃんに見惚れ、
より一層その場に釘付けになってゆくのであった。自殺志願者ですか?
倉内和也さんと藤乃静留さんも口を閉じてさっさと帰って下さい。




ジジッ、ジジジッ、バチバチ……


何かを見るから逃げられないって言うなら、お前等全員ムスカにするぞコラァ!!!
アリカちゃんがそう叫んだとき、突如としてローブから激しい放電現象が発生。
アリカちゃんの周囲を包み込んでゆくのであった。良かったね、聞かれなくて。
(もしかしてあの子の夢が正夢に!?これで電力不足も解決だ!)
この様子を見ていた東京電力の社長がそう思った瞬間、今度は蒼天の青玉の力が鈍りだし、
ローブを制御するピアスを付けていないアリカちゃんのローブは限界を迎えるのだった。
べつに東京電力の社長の所為とかではないです。




ぽろぽろ…「くぅ、思ひ出が…!」


「アカン!このままやったらマテリアライズが解けて、
アリカさんが地面に叩きつけられてしまう!」



その様子に、珍しく焦りの色を見せるぶぶ様だった。それもそのはず!
このままでは第4話にして確実に主人公が死んでしまうからなのだった。
別にこうなった原因の半分がぶぶ様だからとかではないです。
(城に飛行機落としたのはぶぶ様だけど。)
そんなぶぶ様は、飛び上がる準備をすると、アリカちゃんに声を掛けるのだった。
アリカさん!今すぐ助けに行きますえ〜!



ぼろぼろ…「ああっ…!!」


「あ、せやけど・・・
もうちょっと待っとったらエエ感じにならはりますなぁ…。」



もし、ここでアリカちゃんが死んでぶぶ様と学園長が主人公になるのなら、
それもちょっとエエ感じになりそうで、ある意味楽しみです。
「うふふ‥そないなことにでもなったら、毎日毎日うちとナツキでイチャイチャパラダイスやわ〜…。」
危機に瀕する主人公の眼前で物思いに耽るぶぶ様は、
ぼたぼたと鼻血を滴らせ、地面を鮮血に染めてゆくのであった。
そして、その真っ赤な地面がアリカちゃんに自分の近い未来を過らせ、
その心を恐怖に染め上げてゆくのであった。




「ひぃ、血溜まりがっ!?
早く助けて下さいよぉ、シズルさぁ〜ん!」



「あと一歩…あと一歩で……アリカさん、ファイトどす!」



「な、何をですかぁ〜〜!!?」


アリカちゃんが力尽きようとしていたまさにその時、
下からその様子を見ていたぶぶ様はそっと呟くのであった。
「着痩せ、するタイプなんやね…。」
早く助けてあげて下さい。




「まだ…まだ死にたくないよぉぉぉぉ!!!」


とうとう力尽き、マテリアライズが解けたアリカちゃんは地面へと落下してゆくのであった。
絶望に染まる顔。その表情から、アリカちゃん自身も自らの死を理解した事が判別できます。
「良かった、これでストリップを完遂せずに済んだよ〜……
あっ、でも結局解けるなら地面に落ちた時には裸になっちゃうな。困ったな。」

人生を完遂する直前でも結構余裕な主人公なのであった。




ガシッ!


バンッ!


「・・・えっ!?あ、あなたは・・・」


落ちゆくアリカちゃんを掴み上げる逞しい腕があった。
驚いたアリカちゃんが見上げると、そこに居たのは――




「…誰ですか?」


――知らない女の人なのだった。



「そこのコーラル!よく見てみなさい…」
「あの、人の話聞いてますか?」


「あの真っ赤に燃える太陽を!!」
「いや、だから…」


――おまけに人の話を聞かない人なのだった。



「あぁ、ハルカさん…なんて事を……。」


そんな様子を見ていたぶぶ様は、一人、泣いて悔しがるのであった。
「あと一歩だったのに、あと一歩だったのにぃ!」
あと一歩で自分が格好良く助けたのに!という意味です。




「フッフッフ……」


そんなぶぶ様は気にせず、突然笑い出すハルカちゃん。
彼女はエアリーズ共和国の准将です。
「なんだ?准将のやつ笑い茸でも食ってきたのか?」そんな心配をする観客達を他所を、
准将は太陽に向かって手を透かすと、声高らかに宣言するのだった。



「私達は皆々友達なのよ!生きている!!」


「言いたい事は分かるけど文法がオカシイよ、ハルカちゃん!あと語呂も悪い…。


正常だった様子のアーミテージ准将。
ユキノ・クリサントエアリーズ共和国大統領が突っ込みます。



「ああぁぁぁぁぁぁ………。」


当然の結果…。



ガシッ!


バンッ!


「危なかったわね!」
「ギリギリぷりんでした。」


再びアリカちゃんの窮地を救った准将は、アリカちゃんに向かって言うのだった。
「まったく、最近の子はひよいわねぇ。貴女、私が居なかったら2回は死んでたわよ!?」
2回目のは准将に過失があったんだけどね…。
そんな准将は大きく深呼吸をすると、溢れるパワーを気合に換えて、



「てぇなもんやエアリーズ魂、見ぃせたるでぇ〜!!!」


――歌舞伎調の顔で力一杯叫ぶのだった。
そしてそのまま大きく振りかぶると、




「何で、私が、4話、まで・・登場ぉ・・・しないのよォォォォ!!!」
「痛だだ〜!痛い痛い!
折れるって!これ絶対腕の骨的なものが折れるってぇ!!」



「室伏を超えろぉぉぉぉぉ!!!」


キラーン!


「超えたのぅ・・・。」
「え、えぇ・・そうですねぇ・・・。」



持っていた飛行機を地平の彼方へと投げ飛ばすのであった。
そして、そのあまりにも規格外のパワーに呆然とする人々は、
女王と学園長を前にサインの一つもねだらないのだった。
しかし、そんな光景を前にしておきながらも、
学園長だけは真剣にとある事について考えていた。
(…何でローブの胸の部分とスパッツだけは解けなかったんだ?)



「まだかなぁ…。」


結局、有耶無耶なままに終わってしまった舞闘の試合と学園長の疑問。
競技の結果は協議の結果に委ねられる事になり、
アリカちゃんは、不安そうな面持ちで審議会の結果が出るのを待ちわびるのだった。
ニナちゃんは緊張のあまりに固まっています。



「・・・・・。」「・・・・・。」


待ちきれなくなったアリカちゃんが扉からコッソリ中を覗こうとしていると、
ミス・マリアの声が掛かり、その指示の下、ニナちゃんとアリカちゃんは
審議会の真のメンバーである各国の王達の前へと連れて行かれるのだった。



「では、審議会の裁定を言い渡す!」


やって来た二人に対し、審議の結果を伝える学園長だった。
今度はちゃんと審議した上での結果です。





「――学園長!!」


ビクッ!!「な、なんでしょうか?」


学園長が裁定を言おうとした瞬間、
いきなり大声で学園長のことを呼びだすニナちゃん。

それにビックリした学園長は思わず敬語っぽくなってしまうのだった。



「その前に、一つだけお願いがあります。」


「ん・・?」


王達の前でニナちゃんは言うのだった。「もう一度、この子と舞闘させて下さい!」
そこにあるのは進退を賭けたものではなく、一時的にとは言え、
コーラルローブで飛行機を支えたアリカちゃんと、純粋に勝負をしてみたいという気持ちでした。
(俺の人気獲得をおねだりするのか?ニナ、良い子に育ったな…ぐすっ。)
そんな事を思っていたセルゲイの思惑は見事に外れたのだった。




「それは認められない。」


しかし、そんなニナちゃんの想いを学園長は斬り捨てるのだった。
「お前達のためだけに1話を費やしていたら、いつまで経っても舞乙は終わらない!
セルゲイの人気獲得のためになど、以ての外だ!!」

ファンとしてはそれでも構いませんが、そういう事情なら仕方がありません。
心を読まれたセルゲイは驚いていましたが、学園長は構わず言葉を続けます。




「だが認めよう…!」


「「どっちなんですか!?」」
仲良く突っ込む二人に、学園長は優しく微笑むのだった。
ちなみに、セルゲイの件については断りました…。



「あの・・ホントにホントに、ホントにホントに、
ホントにホントに、ホントのホント〜に!
もう何て言って感謝したら良いか分かんないんですけど、
とにかく、ホントにホントに、ホントにホントに、
ホントのホントのホントのホント〜〜〜にっ!」

「いや、もう分かったから。」



ちょっとウンザリ気味の学園長。
お礼もあんまりしつこく言われるとイラッとするもので…。
結局、入学を認めてもらうことができたアリカちゃんは皆にお礼を述べます。
ニナちゃんも違反行為は不問とされ、
二人は揃ってガルデローベへの復帰&入学を果たすのであった。




「エアリーズ共和国大統領、ユキノ・クリサント閣下だ。」
「大…頭領…?」



そんなアリカちゃんに対し、学園長は今回の件における功労者の名前を出し、
その人を前にしたアリカちゃんは、溢れ出る感謝の気持ちを、
最大級のお礼と誠意を込めた言葉でその人に伝えるのだった。




「あたし、ユキノ大頭領の大ファンでした!」
「今、知ったばかりでしょ?」



まったくもってその通りなのだった…。



「ふ〜ん・・まだまだだね。」「まいっちんぐ!」
(シズルレベルにはほど遠い技術だな。)
(テニプリ・・・。)



すると、突然アリカちゃんの胸を揉みだす准将。
おまけに、
「もっと訓練が必要ね!」なんて失礼な事を言い出すのだった。
「まいっちんぐ、この人まいっちんぐ!」と言いながら
何の訓練かを問うアリカちゃんのことは、まるで降りない駅の名前のように気にせず、




「シズル、アンタそーいうの得意だったでしょ!?
やってあげなさい!」



准将は、そーいう意味だった訓練をぶぶ様に一任するのであった。



「合点承知の助!」


かなり乗り気のぶぶ様。



「ちょ、ちょっと待って下さい!」


(シズルが?ま、まさかな…。)とは思いつつ、
そんな准将の言葉とそれに対するぶぶ様の予想外の反応を見て、
学園長は露骨に焦りだして抗議するのであった。
ぶぶ様の反応は十分予想できたことだったけれども…。
(その証拠に、ぶぶ様は既にイメトレの真っ最中です。)



「そ、そうですよぉ!」


便乗して拒否するアリカちゃんだったが、



「いい?オトメに求められるのは気合よ!
耐え抜いてそれを身に付けなさい!」



その言葉が、突っ走る准将に届くはずもないわけで、
この話を纏めると、准将と大統領はエアリーズへと帰って行くのであった。




「君に言っておかなければならないことがある。」


――場所は移ってガルデローベの学園長室。
正式に入学することが決まってガルデローベの制服を与えてもらったアリカちゃんに、
ガルデローベの重役達が集まって、入学前の事前説明会が行われるのであった。




「ひと〜つ!」


(あっ、こっちか。)


「人の世と同じに恋愛するのは禁止!」


「へ・・?」


「ふた〜つ!不埒な行為も禁止!」


「はぁ・・・?」


「み〜っつ!醜い違反の結果オトメになれないユメミヤ・アリカ!」


「・・・・・。」


オトメには幾つもの制約があり、
オトメになるという事は、それら全てに覚悟を持つということなのだった。
特に、男性と交わることによりその体液が体内に入ると、
それがオトメの力の源のナノマシンを破壊、その後抗体も出来てしまう為、
二度とマテリアライズ等のオトメの力を持てなくなってしまうのであった。
故に恋愛禁止。それを聞いたアリカちゃんは、ただ無言で頷くのであった。
まぁ、左右の耳の穴は貫通していたのだけれども…。




「それともう一つ!」


学園長は厳しい顔つきで言葉を続けます。



「あ〜・・っと・・・そのだな・・・・。」


と思ったら、突然、歯切れの悪い喋り方になる学園長。



「あのぉ〜・・?」


「えと・・つまり・・そのぉ・・・。」


モゴモゴと口篭る学園長に対し、
不審な目で何を言いたいのかを問うアリカちゃんだったが、
なかなかハッキリ喋ってくれない学園長なのだった。
アリカちゃんがもう一度問い掛けます。




「あの・・学園長先生?」


すると、まるで何かに観念するかのように学園長はポツリと呟くのであった。



「・・・・シズルは私のだ・・・。」


「・・・・・はっ?」


よく聞こえなかったため、もう一度聞き返すアリカちゃん。



「だ、だから・・・・・シズルは私のだ・・・!


「はぁ・・・。」


「突然そんなことを言われても…。」と困るアリカちゃんだった。
(そもそも、何でそんな事をアタシに言うんだろう?)
なんて事を思ってアリカちゃんがキョトンとしていると、
その顔をまだ理解してないのか?と勘違いした学園長が、
さらに言葉を続けるのであった。




「だ、だから!シズルは・・・
私にとってかけがえのないパートナーなんだ・・!
と、取ったら許さないからな!!」



「ナツキ・・・!!」


感激して涙を流すぶぶ様なのだった。



「相変わらず、マイスターヴィオーラの事になると、
無茶をするのですね貴女は・・。」

「すまない、ミス・マリア・・・。」



「・・・だが、それでも私は!」
「分かっています。昔の私もそうでしたから・・・。」


アリカちゃんが教室へ、ヨウコ先生が自分の部屋へと戻った後、
残った三人は真面目な顔で話を続けるのであった。
話の内容は子供のケンカの反省会みたいだけれども…。




「ですが、ソレとコレとは別。あの子は、苦労しますよ。」


ガルデローベはオトメ養成学校であってボランティア団体ではないため、
授業料その他諸々は、私立の医学系大学並みに高いものなのだった。
後ろ盾も身寄りも無い…そんなアリカちゃんを、ミス・マリアは心配するのであった。
しかし、アリカちゃんに面と向かって忠告できたことを喜ぶ今の学園長にそんな事は関係なく、




(フフ・・私だってやれば出来る子じゃないか。
これでシズルの好感度もさらにUP間違い無しだな!)



なんて事を一人思って、その顔をニヤニヤさせ続けるのであった。



(――はっ、イカンイカン!)


しかし、自分でもその事に気付いた学園長は、
「ニヤついた顔では威厳が損なわれる!」なんて事を思いつつ、
まるでOPなんて無かった事にするかのようなカッコイイ顔で、
ミス・マリアの方を向いてビシッと言うのだった。




「こんな事になるなら、
奨学金制度の一つも作っておけば良かったね!」



「ナツキ…?
ミス・マリアならもう帰りはったけど・・・。」



「あ・・そう・・・。」


いつか言うときのための練習として…。



「初めまして。ユメミヤ・アリカです!」


その頃、アリカちゃんは教室で自己紹介をしていたのであった。
私、花も恥らう女の子。特技は剛力無双です!
そのインパクトのある自己紹介に、教室は喧騒に包まれるのだった。
剛力無双は特技というより能力だったのだけれども…。




「ニナさん、エルスティンさん。
先生からのお願い、略しておねてぃがあります!」



アリカちゃんの自己紹介が済むと、ユカリコ先生は、
ニナちゃんとエルスちゃんにとあるお願いをするのでした。




「はい…。」「はい。」


先生に指されて立ち上がる二人。
その横で、「アレ?何で立ってんの?アレ?何で立ってんの!?」と、
話を聞いてなかったイリーナちゃんは大慌て!
つられて自分も立とうとするのであった…。




「うわぁ〜!綺麗なお部屋だね〜!」


ユカリコ先生のお願いは、
二人の部屋にアリカちゃんを追加してね。これは学園長先生からの最優先事項よ!
というものでした。
それに従い、二人は早速アリカちゃんを部屋へと案内するのであった。




「景色もいい〜!ヤッホー!」
「誰ですか!!大声で叫んでるのはっ!!!」
「やばっ!!」
「まったく…オトメとしての品性の欠片も無い…。」


興奮するアリカちゃんは、これから始まる学園生活に胸高鳴らせ、
元気一杯に窓から叫ぶのだった。
返って来たのは山彦ではなく誰かの怒鳴り声だったけれども…。




「え〜っと…。」「あ、エルスティン・ホーだYO!」
「HIPHOP系…?」


自分はさっき教室でしたため、今度は同室になる二人に尋ねるアリカちゃん。
自分達の部屋でハシャギ回るアリカちゃんにも優しいエルスちゃんに対し、
ニナちゃんは一人、冷たい態度を取るのだった。




「フン!学園長の命令だから仕方なく…よ。」


「ニナちゃん…もしかしてツンデレ?」


「誰もデレてないわ!」


必死で否定するニナちゃんだった。
そして、ほらほらそういう所がぁ〜…うふふふ…。
と食い下がるアリカちゃんに対し、



「私達はね、オトメになるための競争をしているの。
ライバル相手に馴れ合う気なんてないわ!」



と言うと、そのまま部屋を出て行ってしまうのであった。



「ライバル…か…。」


「ねぇ、エルスちゃん。ライバルって何?」
「え、知らなかったの!?」


そして、アリカちゃんはライバルについて考え出すのであった。
ライバル…ライ・バル…ライバ・ル…ラ・イバル…ランバ・ラル…う〜ん?
それを見かねたエルスちゃんは、仕方なく語り始めるのだった。




「これは昔々のお話なんだけどね…」


ある所に、一人の可愛い幼女がいました。
その幼女は尖ったナイフのような心と拳銃を持っていました。
実は、悪人に暗殺術を教えられていたのでした。
しかしある日、そんな少女の前に一人の男の人が現れました。
彼はその少女を引き取り、育て始めます。
それからは順風満帆に過ごしていた少女は、いつしか彼に恋心を抱きます。
しかし、そんな彼女と彼の前に、唐突に一人の少女が現れたのでした。
そしてその少女は言いました。私も彼が好きなの!と。
そして二人の少女は……。




コックリ…コックリ…


「あの…アリカちゃん?」


「――えっ?あ…聞いてる、聞いてたよ!」


難しい話は苦手なアリカちゃんなのだった。
小さい子用のお話だったのだけれども…。




「それでね?その少女は…」


新たに登場した少女に彼を取られないようにと、夜這いをかけたのでした。
話はここから18禁の域へと突入したため、
テレビでは放送規制音が入って、まったく聞こえなくなるのであった。









「ふ〜ん、なるほどぉ…。
それでライバルって言うんだ…。」



一通り話を聞き終わり、
ようやくライバルの意味を理解したアリカちゃんは、
その感想を、力を込めて叫ぶのであった。




「アタシだって、いつか天皇賞で一番になってやるんだから!」


「あの、アリカちゃん…話聞いてた?」
「え、なんの…?」


馬の耳に念仏なのだった。




「へいっ、らっしゃ〜い!」


取り敢えず、夕御飯を食べに食堂へと移動した二人だった。
そこでは、
遠目に見るとオボッチャマン君と同じ髪型に見えないこともない、
今日の給仕役であるニナちゃんの元気の良い声が響き渡っていた。





「へいっ、らっしゃ〜い!」
「はぁ…。」「どしたの?」


しかし、そんなニナちゃんの声に反してアリカちゃんは落ち込んでいるため、
心配したイリーナちゃんが声を掛けると、アリカちゃんは溜息をつきつつ、
「さっきこんなの貰っちゃって…。」と、その原因となっている紙を見せたのだった。





「へいっ、らっしゃ〜い!」
「なになに…授業料と教材費…」
「………。」




「へいっ、らっしゃ〜い!」
「…食費…光熱費…水道代…施設等維持費…」
ウトウト…



「へいっ、らっしゃ〜い!」
「…学園運営費…学園長賛美費…学園長お小遣い費…
…シズルへのプレゼント費…別途マヨネーズ費…
へー!結構な額だったんだねー!!」

すやすや…すやすや…



「へいっ、らっしゃ〜い!」
「・・・エルスちゃん?」
「――あ、はい!起きてます、起きてますよぉ〜!
私はおっぱいいっぱい夢いっぱい、元気いっぱいマテリアライズ!」

「・・・・・・。」「・・・・・・。」


エルスちゃんは、可愛くて、優しくて、気が利いて、人当たりが良くて、礼儀正しくて、
それでおまけに成績も優秀という、近所でも評判の素晴らしい女の子でした。
胸に栄養を取られてちょくちょくボーッとする事を除けば――。




「あぁ!アンタ、何してんのよぉ!!」


そんな感じで高額な入学費用をネタに三人が話をしていると、
突如としてマシロちゃんのペットのミコトが食堂に乱入して来たのだった。
話に夢中になっていたアリカちゃんは気付くと食事を食べられていた挙句、
逃げようとして暴れたミコトにソースを掛けられたりもして、もう散々。
なんなのよアイツ〜!飼い主そっくりなんだからぁ〜!!とボヤくのだった…。



「ひゃあん!」
「あら、ごめんなさい。私ってばテクニシャンだから…!」



すると、偶然そこを通りかかった女の子が、
自分のハンカチでアリカちゃんの汚れを拭いてくれたのだった。
彼女はアリカちゃん達星組のクラス代表を務めるコーラルbQのトモエちゃん。
入学したばかりで何かと心細そうなアリカちゃんに対し、
何か困った事があったらすぐに言ってね。と、優しく声を掛けてくれたのであった。



「へっくしょん!へっくそん!マ・イ・ケ・ル…ジャックションブーッ!!!」


「あう〜…今年の花粉は辛いの〜。」


その頃のマシロちゃん――。



「ここ…かな。」


その後、皆はお部屋係の仕事に出掛けたため、
トモエちゃんに言われた通り、一度部屋に戻って制服を洗いに来たアリカちゃんであった。
ちなみにお部屋係とは、コーラルの子がパールのお姉さまに付いて、
色々面倒をみて貰う代わりに、身の回りのお世話をするという制度のことです。




「・・・・・。」


「・・・・・・・。」


その頃、給仕を終えたニナちゃんは中庭で一人、とある歌を口ずさみながら、
ロケットに写る自分とセルゲイの写真を見つめて昔を思い出していた。




ジー・・・。
「こ、コラッ、ニーナ!
な、なな、何を見てるんだ!?」



「ご、ごめんなさいお父様!
に、にーな・・赤いペンを借りたくて・・・
そしたらちっちゃい女の子が縄で縛られてて…ごめんなさい!」

「な、なぁ〜んのことかなぁ〜?は、はは・・・。」



「・・・・・。」


思い出さなければ良かったとちょっぴり後悔するニナちゃんだった…。
ううん、気にしちゃダメよ。世の中には色んな趣味の人がいるんだし、
そもそも私の記憶違いの可能性だってあるんだから。…うん、きっとそうに決まってるわ!
しかし、必死に過去を都合よく上書きするニナちゃんは一つの事を思い出すのだった。
でもあの時…偶然見かけたレナお姉さまの写真を見て、お父様は言っていたわ。




「その人はね、俺の夢だった人なんだ…。
まっ、俺は男だからオトメにはなれなかったんだけどね。」



「夢・・・。」


ニナちゃんが思い出したのは、セルゲイが言っていた『夢』という言葉だった。
あの時、女装してココに入学しようとしてミス・マリアに張り倒されたと笑っていたけど、
お父様は懐かしそうに…そして寂しそうにその言葉を呟いていた…。
夢……レナお姉さまのGEMを持って現れ、そして学園に入学したあの子は…。




「はぁ〜い、ニナ!」


セルゲイ、レナさん、アリカちゃん。そして…夢。
それらは見えない遠く、いつかの先に、細い糸で繋がっているんじゃ…。
ニナちゃんが、自分の確信めいた推測に思いを巡らせていた時、
不意にその背後からナオお姉さんが現れ、ニナちゃんに声を掛けたのだった。




「あんた、結構歌上手いんだねぇ。」
「いえ、ナオお姉さまほどでは…。」


最初からずっと盗み見ていたナオお姉さんだったが、
いい加減隠れ見るのに疲れたので、痺れを切らして出て来たのであった。




「また無断外出ですか?」


そんな、先輩であるナオお姉さんに、
ちょっと注意気味に言葉をぶつけるニナちゃんなのだった。
「前作が無断外泊かと思ったら、今作では無断外出ですか?
いい加減にして下さいよ、ナオ先輩!」
しかし、ナオお姉さんがそんな程度の言葉でやり込められる訳もなく、




「あのアリカって子のことなら、気にすることも無いでしょ。
あと、今度アルバム出すからそれもよろしくぅ〜!」

「んっ!――べ、別に私は・・・。」


ニヤニヤ・・・「10枚ね♪」
「むぅ・・・。」


むしろ逆に、自分がさっきまで考えていた事を見抜かれてしまい、
やり込められてしまうニナちゃんなのであった。




「まぁなんにせよ、あの子は潰されるよ。近い内にね…。」


そしてそんなニナちゃんの顔に満足したナオお姉さんは、
これから確実に起こるであろう事を遠回しに口にすると、
手にしたサングラスを掛けて、そのまま夜の闇へと消えてゆくのであった…。




「ん〜・・あや、満員・・・!」


「ま、いっか。明日でも。」


初めて見る機械を前に20分程考え込んでいたアリカちゃんだったが、
結局、全部(鼠が訓練中で)使えないという結論に達し、
今日の所は洗濯を諦め、染み抜きもせずにそのまま帰ってしまうのであった。
まぁ、見ていたのは全部乾燥機だったのだけれども…。




「夢・・・。」


部屋に帰ったアリカちゃんは、
寝間着に着替えるとそのまま倒れるようにベッドに横になり、
今日一日の出来事を思い出すのであった。




「ひと〜つ!見るなら富士山で!」

「ふた〜つ!見るなら猛禽類!」

「み〜っつ!三つ子の魂百までも!!」

「ちょっと、学園長!?それは少し違うわよ?」

「その通りです。正確には三つめはナスです。
あなたもまだまだ勉強が足りませんね・・・。」


「ご、ごめんなさい・・・。」


「…大丈夫…だって…やっと見つけた夢だもの――。」


根拠は無いけど大丈夫。だってアタシ、主人公だもん!
そんなホントに根拠の薄い希望的観測に未来を賭けたアリカちゃんは、
前話のCM明けからずっと起きっぱなしだった為、
そのままスーッと眠りに就いてしまうのであった…。
しかし、そんな楽しい未来を思い描くアリカちゃんに、
学園七不思議の影の一つが忍び寄っていた――。




コツ…コツ…コツ…


(・・・ウホッ、イイ汚されっぷり!)


――その特殊そうな趣味が七不思議、って意味ではないです…。





次回へ続く。










『お部屋係入門編〜お姉さまとの接し方@〜』


ガルデローベに入学すると、貴女は遠からずパールである誰かのお部屋係となることでしょう。
お姉さまとの付き合い方は十人十色ですが、
できれば大好きなお姉さまには良い想いをしていてほしい。
そんな貴女の思いを叶えるべく、ここでは一つの場面を想定し、
お姉さまのために働くという例を、解説付きで紹介してゆきたいと思います。







「「いい湯だな〜!あはぁ〜ん!!!」」


お部屋係になると、お姉さまのお風呂に同行して背中を流す機会もあるでしょう。
今回はこのケースを想定します。
流石にお姉さまと一緒に入るのは図々しいので、貴女は後から行くことになるでしょう。
ですから、お風呂に入ったら、まず最初に自分のお姉さまを探して下さい。




ワッシャ、ワッシャ!


(――あっ!)


――見つけましたか?
自分のお姉さまを見つけたら、早速、
自分を待っていてくれたお姉さまに声を掛けましょう。
ですがちょっとストップ!
声を掛けるその前に、お風呂は湯気で大変曇っています。しかも後姿!
まだ付き合いが浅かった場合は、万が一の可能性で見間違えてしまうこともあるでしょう。
ですから、声を掛ける前にもっと近くまで行き、
自分のお姉さまであることを確信してから声を掛けましょう。




「お姉さま、お背中を流させて頂きます。」
「オッケ〜!じゃあお願いしようかな♪」


お姉さまは自分より絶対的に上の立場なので、その事を忘れずに喋りましょう。
そうすれば、ほら!お姉さまも気分良く、肌に触れさせてくれる事でしょう。






そしたら、この↑の写真で奥のコーラルの子がシズルお姉さまにやっていたように、
貴女もボディソープを使って自分のお姉さまの身体を洗いましょう。




「そう言えばチエさん?
この間の会議での事なんですけどぉ…」



「おやおや、まだ怒ってんのかい?
シホ君は胸と同じで器も小っちゃいねぇ。」



ぷるぷる…
「な、なぁんですってぇ〜!!」


しかし、貴女がお姉さまの身体を洗っていると、
突然別のお姉さまとの口論が始まってしまいました。
きっと貴女はどうして良いか分からずに困ってしまうことでしょう。
そんな時は、コーラルの貴女では仲裁に入っても相手にされない可能性があるため、




「だめよ、二人とも。みんな仲良くしなくちゃ!」


迷わず別のお姉さまに仲裁に入ってもらいましょう。
この時は、できるだけ二人の間を取り持てる実力を持った人を探しましょう。
二人と接点の無いお姉さまでは、
かえって困った事になってしまうので注意が必要です。
その人物がどうしても分からなかった場合は、
無難に、優しそうな人に頼りましょう。




「で、ですけど、チエさんが・・・」


「シホちゃんの言いたいことも分かるけど、
でも私達はお友達でしょ?
卒業したらお別れなんだし、今は仲良くしなくちゃ!
シホちゃんだって、わざわざケンカしに入学した訳じゃないでしょ?
ココは私の顔を立てると思って・・・ね?」



「ま、まぁ、そーいう事なら、チエさんの方から謝れば、
許してあげないこともありませんわよ?」



上手く話が逸れてきたと思ったら、チャンスです。
最後に貴女が体を張れば、そのまま話はどこへやら!
きっと、お姉さまたちも口論の事など忘れてくれることでしょう。




「んじゃ、これでこの話はおしまいだねぇ。
シホ君も早く――」



「――こぉ〜んくらいは、大きくなろうねぇ〜!」


お姉さまとの関係も、お姉さまたちの関係も、あなたの腕次第なのです。
困った時はコレを思い出し、貴女が体を張って良好な関係を取り戻しましょう。
きっと、お姉さまも喜んでくれるはずです。頑張りましょう!






以上、『お部屋係入門編〜お姉さまとの接し方@〜』からの抜粋でした。
(資料提供:シマシマ団)
そのA以降は、お近くの本屋で売っている
『お部屋係入門編』をご購入の上、
各自でお楽しみ下さい。
貴女が将来、立派なマイスターオトメになれるのを心より応援しております。
(バックステージ『お部屋係入門編』編集部より)