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07:11:03

「え〜っとだな・・・その、急で悪いんだが・・・
あまりにネタが思いつかなくて間が空いてしまったのだが、
だからといってこのまま止めるのもアレなんで・・・
きょ、今日から再開することにした。
できれば決心した私を・・し、祝福してくれると嬉しい。
それでだな、その・・ひ、一つ相談があるのだが・・・
こ、今回から・・その、なんだ・・・まぁ平たく言うなら、
かつてのTOSレビューがそうだったように、
極端には葱姉妹に拘らないスタイルでやろうと思うのだが、
・・・ど、どうだろうか?」

「・・・・・。」

「「「――はっ!!?」」」

「オイッ!今更何ふざけた事言ってやがんだ!」
「そうだそうだ!確かに人気の割に本筋に絡んでなくて、
作り手としては大変なのかもしれないけど――、」
「でもそれを上手くやるのが力の見せ所でしょう!?」

「そうだその通りだ!今回でやっとセリフ言えた!」

「パクリどす!自分自身のレビューのパクリどす!」
「えっ、それってパクリっていうの!?」

「あかねちゃ〜ん!!」

「ねぇねぇ聞いた!?」
「うっそマジ!?信じらんない!」
「あっ、でも作れるんならそれもアリかも・・?」

「本気・・なんですか・・・?」

「ま、まさかこのような事態になるとは・・・。」

「一大決心――やね!」

「アタシにも主役のチャンスがぁぁぁ!!!」

「・・・あれ?ねぇ、学園長自身も何度か驚いてなかった?」
「え、そうですかぁ?」
「私の気の所為かしら・・?」

そんな訳で、このレビューではお久しぶりですこんにちは。
前回の更新から7ヶ月以上も間が空いてしまったため、
最早5話を待っている方も居ないのではないか、
今更舞乙のレビューをやる事に需要はあるのだろうか?

というかそもそもコレで感想を貰ったことがあっただろうか?いや、無い。(反語)
――等々、色々と思うところはあるのですが、特に最後はかなり重要なのですが、
上で学園長が言った通り、今日からまた再開しようと思います。可能な限り。
それに際して学園長が何か言い訳がましい事を言っていましたが、
まぁ多分、葱姉妹は中心に出てきます。と思います。(どっちだ)
とは言っても、本筋に絡んでないのは確かなので、どうしても無理な時は普通に行こうと思います。
――っという訳で、久しぶりなのでちょっと違った感じになってしまう可能性があるかもしれませんが
いつも通りでした。取り敢えず本編に行こうと思います。


前回のあらすじ>



「クールなクーガー。それが私ですだよ。」

主人公だから絶対に入学するはずだと踏んでいた学園長は、
入学したアリカちゃんに事前に何度も練習した自己紹介を披露するのだった。






コーケコッコーーッ!!

「どぅびどぅばぁ!!」

ガルデローベでの最初の朝を迎えたアリカちゃん。
これが初めての朝かぁ…!よぉ〜っし、この良い朝に負けないようこれから頑張るぞぉ〜!
――っと、起きたて早々に一人で盛り上がり始めます。
正確には三回目の朝なのですが、アリカちゃんは忘れているため、
皆さんも清々しい最初の朝だと思っておいて下さい。
ちなみに、隣りで寝ていたニナちゃんとエルスちゃんは早朝から騒がれて怒り心頭です。


「ファイナルフュージョン!」

「「「lightになれぇぇぇ!!!」」」

「欧米か!?」

そして始まる最初の授業。
クラス委員であるトモエちゃんに続いて皆で先生に挨拶をし、授業に入ります。


「?????」

しかし、アリカちゃんにはちょっと難しかった授業。
それもそのはず。教科書は全てマサイ語で書かれていたのです(アリカちゃん視点)
ハッキリって、よゐこの浜口が英語を見たとき並みの難度です。
ちなみに、パッと見嫌な汗をかいたガマガエルにも見えますが、
間違いなく正面に映っているのがアリカちゃんです。


「いやぁ〜、突然訪問しちゃってごめんね〜?」
「そうですね。」「・・・・・。」
「真冬の金属殿下の前で、微塵に砕けろ焼いた米。」

ちょうどそんな時、
アルタイのナギとセルゲイが突然ガルデローベにやって来て見学させてほしいと言ってきます。
本当はぶぶ様とのイチャイチャタイム真っ最中だったため嫌だったのですが、
止むを得ず、学園長は自ら二人に学園の施設を案内することを決めるのでした。
しかし、まるで大好きなお菓子や玩具を理不尽に取り上げられた時のように学園長の怒りは収まらず、
その怒りが言葉の端に現れてしまったため、それを聞きとがめて更にムカついたセルゲイが、
学園長、確かに貴女はここの責任者で立場も形式上一国の首相だ。
だが、アルタイ公国の王である殿下に対するその言葉遣いは、
まるで遊びに行った家で出された茶菓子の煎餅を粉微塵に砕いてしかも食わないかの如く、失礼だ。

――っと、怒りだすのであった。仮にそのまま食ったとしても失礼です。


「こちらがコーラル星組の教室です。
今はユカリコ・シュタインベルグによる、
人体の急所と的確な殺害方法の講義が行われています。」

「あっ、そ、そうなんだ・・・。」「・・・・・。」

しかし、全くもって無視されたセルゲイの言葉。
学園長は、まるで何も聞こえなかったかのように正々堂々とシカッティングするのであった。
ウサ晴らしという名の嫌がらせです。


「――学園長!」ヒソヒソ・・・。
「ふむふむ・・にゃるほど、私を愛していると?
ふむふむ・・にゃるほど、私もシズルを愛しているぞ。
一万と二千年前からな!」


――っと、その時!
(ナギとセルゲイが「此処って乙女しか居ないんだよね?ハァハァ」と言って、
鼻息を荒くして教室の窓ガラスに張り付いて中を覗き、「僕あの子ー!」「では私はあの子で!」っと、
好みの子を品定めして取り合いっこをし、生徒に冷ややかな視線で見られていた時。という意味)

突如として学園長室に置いてきたはずのぶぶ様がその場に登場し、
学園長に向かって愛の告白をするのであった。


「少々お待ち下さい。」

そんなぶぶ様の熱い告白を聴いた学園長はいても経っても居られなくなり、
ナギとセルゲイを適当に放り出してぶぶ様との愛を確かめ合おうとナイスな笑顔を披露するのであった。
これ以上無いほどにキラキラと輝いています。
そしてそんな学園長の様子を見たぶぶ様。こっそり後ろを向いてニヤリ!と笑うと、
それまで学園長を独り占め(正確には二人)していたナギとセルゲイに対し、
「ふふ、ナツキはうちのもんどす!」といった感じの、してやったり!という顔をするのであった。


「実はナツキに相談があるんやけど・・・」

そんなぶぶ様は二人から学園長を引き離したのを確認すると、
学園長と向かい合い、そっと学園長にとある提案を打ち明けます。


「な、なんだって!?」

そんなぶぶ様の提案に驚愕の表情を浮かべる学園長。
それもそのはず。ぶぶ様からの提案は今ココでしよう!というものだったのです。
(何をするのかの具体的な内容については個々人で妄想して下さい)


「はんむむむ〜・・・。」

そのため、そんなぶぶ様の提案に驚いた学園長は悩み、考え、
そして放っぽりっぱなしのナギとセルゲイを他所に一つの結論に辿り着くのであった。


「・・いや、ダメだシズル!
今日はまだ勝負下着を着けていない!」


着けてたら良かったのか?



「学園長ォォォォォォ!!!」

――ビクッ!?


「一つお話があります。」
「お、おぉう!ミ、ミス・・・マリア!?(びっくりしたぁ〜・・。)」
(ほんま、えらい声量やったわぁ〜・・。)

学園長が一つの結論に到達し、
尚も食い下がって今にも押し倒そうとしてくるぶぶ様をどう断ろうかと考えていると、
突如としてその場にミス・マリアが現れ、学園長に話がある。と言い出します。
そんなミス・マリアに対し、いや、私はちょっとこれからシズルとの用事がありまして…。
いや、だから…ね?ミス・マリア……ね?
――っと言って、学園長はぶぶ様と一緒に居たがったのですが、
ミス・マリアはそんな学園長の言葉を無視してその手を掴むと、
そのまま強引にとある場所へと連れ去ってゆき、
完全に男二人を除け者にしてしまうのであった。二人の背中に哀愁が漂います…。
背中が映って無いセルゲイの場合は更に別の意味の哀しみが漂います。これが実力社会です。


「はぅぅぅ〜・・・。」

――ちょうどそれと同じ頃、
一通りマサイ語(イメージ)によって書かれた教科書を基にした授業を受けたアリカちゃんが、
もう、何なのよマサイって〜!?ライオンの倒し方とか必死に教えられても、
いつ何処で役に立つのかが全然が分からないよぉ〜!そもそもライオンって何なのよぉ〜?
なんて事を叫び、
無駄に詰め込み教育だったガルデローベの授業にかなり際どい所まで衰弱死しかけていると、


――バァンッ!!!
・・メキ・・メキメキ・・・バターン・・・ッ!

「・・・・・。」

突如として勢いよくドアを開け放った悪徳業者似(顔が)の人こと、
ナオお姉さんのライバルと見せかけた玩具の人こと、
上級生であるパールのシホさんがその場に現れるのであった。


「・・・アリカさん?まぁ〜ったく、
貴女ってばホント〜にマンダムなんだからぁ〜・・・」


ガシッ!
「おうワレ、ちぃ〜っとばかし面貸せや!?」

「むぐぐぅ〜??」

そんなシホさんは、まるでアリカちゃんが何かをしたかのような事を言ってそのまま近寄っていくかと思いきや、
勢いよく教室のドアを開けた所為でドアが取れそうになって、
慌てて抑えてギリギリセ〜ッフ!とか言ってみたのはいいけど言ってる間にやっぱりドアが取れちゃって、
そんな状況にあぁ〜、どうしましょどうしましょ!?みたいなことを言って動揺してたら、
アンタ一体何しに来たんだ?みたいな感じの視線をコーラルの生徒達から受けちゃって、
そんな皆の視線に対してちょっと逆ギレみたいな八つ当たりみたいな恥ずかしいみたいな感じの顔をしてから、

ようやくアリカちゃんに詰め寄ると、有無を言わさずアリカちゃんの顔に下半分アイアンクローをかまし、
そのまま別の場所へとアリカちゃんを引き摺って行くのであった。


「あのぉ〜・・これって一体?」

バンッ!「コレを見なさい!」

そして別の場所へと引き摺ってこられたアリカちゃん。
訳も分からないままに破かれて縫われた自分の制服を見せられ、


「これは貴女がやったのよね!?
いや、あなたがやったに決まってるわね!?
っていうか貴女以外にやる人なんか居ませんわよね!?
貴女がやったって言っちゃいなさい!
いや、言うわ!貴女は必ずやったって言うわ!
だから言っちゃいなさい!今すぐ!
お願い!貴女がやったって言わないと、
私のアイデンティティが崩れるの!
だからやったって言っちゃいなさい!
早く言え!言わないと殺すぞ!?
・・ゴメンなさい、ついつい熱くなって脅しちゃったわね。
だから・・・ね?早く自分がやったって言って?
・・・オラァ!!テメェ調子のんなよ!?
この私がここまで折れてやったってのに、
まぁ〜だ白を切るつもりかぁぁ?あぁっ!?
いい加減に白状しないとカツ丼抜きにするぞコノヤロウ!
いいからとっとと早く言えぇぇぇ!!」


――っと、捲くし立てられるのであった。
推理したり決め付けたりお願いしたり脅したり…、
シホさんも一人何役となかなか大変です。
しかし、このままでは何がなんだか訳が分からないため(特に視聴者が)
ココで助け舟とばかりに側に居たアカネちゃんが前に出てくるのであった。


「私達三人はトリアスって言って、
上級生であるパールの代表として生徒指導を任されてるの。」


そして、まずは強制連行してきてしまったアリカちゃんに対して、
ゴメンね?シホちゃんて本当はすごく真面目なんだけど、
真面目すぎる所為か、思い込むと少し一直線になっちゃう癖があるの。
その所為でちょっと強引になっちゃったんだと思うんだけど、
多分悪気は無かったと思うんだ…だから許してあげてね?
――っと、さり気なくシホさんのフォローを入れながら謝るアカネちゃん。
トリアスはパールの成績上位者三名のみが与えられる称号であり、しかもアカネちゃんはNo.1として、
唯一前作で生徒会長だけが着ることを許されたのと同じ白い制服を着ているという事もあり、
たとえ尋問するために呼んだとは言っても、その相手に対する笑顔と礼儀と気遣いは忘れません。
人間関係において必要なのはまず笑顔、そして礼儀と気遣いです。
これらが欠けていれば人間関係においては何も無いのと同じ事であり、
その辺の事をキッチリ心得ているアカネちゃんは柔和で慈愛に満ちた笑顔を浮かべると、
そっと囁きかけるかのように、丁寧な口調でアリカちゃんに対して語りかけるのであった。


「だから聞くんだけど、アリカちゃんがやったんだよね?」

――っと思ったらそうでもなかったアカネちゃん。
シホさん同様、いきなりアリカちゃんを犯人だと決め付けて掛かると、
早く白状しちゃった方が楽になるよ?なんて、別な意味の優しさを醸し出し始めるのであった。
よくよく考えれば分かることでしたが、前作で生徒会長だった御方も白い制服の内側は真っ黒でした。
へたに笑顔で優しい分、シホさんよりも性質が悪いです。


「え?いや、楽になるって言われても・・。」

しかし、そんな二人の尋問にアリカちゃんがたじたじになっていると、


バァンッ!!

またしても突如として部屋のドアが開け放たれ、
なんなのよこの学校は〜!?突然ドアを開けるのが流行ってるのぉ〜!?
――っと、驚き怯えるアリカちゃんを他所に、
今度は学園長とミス・マリアの二人が現れるのであった。


「このk――」
「この件については私達に任せてもらいましょう!」
「・・・・・。」

「・・・? どうかしましたか、学園長?」

「いえ、別に・・・。」

「・・・・・。」

そして、やっぱりまたしても連れ去られたアリカちゃん。
その異常な拉致されやすさ故、かなり気を付けていないと、
今後突然どこかに拉致されて主人公が居なくなったなんてゆう事態が発生する可能性があります。
まぁそれは=で学園長とぶぶ様が主役になるということに繋がるので、
ある意味ではファンは困らない可能性もあります。


「これを読んでみたまえ。」

そんな未来の危険を知ってか知らずかアリカちゃんが身を強張らせていると、
ちょっと不服そうな顔をした学園長から一通の手紙が差し出され、
それを受け取ったアリカちゃんが(なんだろう?学園長からのラブレター??)とか思っていると、
何故かブライト艦長みたいな顔になっているミス・マリアがその口を開くのであった。


「貴女の母親と旧知の中であったという、
ある匿名の人物から、貴女に対し、
金銭的な援助をしたいとの申し出があったのです。」


「えっ、アタシに!?」

その言葉に驚くアリカちゃん。
そんな、まだ入ったばかりなのにもうファンが出来ちゃったのかなぁ…?
そうだよね!きっとそうだよね!アタシだって一応主人公…だもんね?
あっ、でも知らない人から物を貰っちゃダメだって昔ばっちゃが言ってたし…どうしよう…。

――っと、喜びながらもその申し出を受けるかどうかで迷い始めます。
そんなアリカちゃんの言葉に対し、
ミス・マリアの横で「うむ、そういう話があったんだ。」っと、一人コクコクと頷いていた学園長が、
うんうん、そうだな。確かに知らない人から物を貰うのは良くないな。
いや、たとえ知ってる奴からだったとしても簡単に貰っちゃうのはダメかもしれないな。
なんせ私なんかホイホイ受け取ってたら最終的に長葱まで貰っちゃったからな。
まぁその時は散々拒んだ挙句に無理やりお尻に渡されたんだけどね……って、
えぇ!?なに?アリカにそんな話が来てたのか!!?

――っと、驚愕の表情を浮かべて椅子をガタガタと揺らし始めます。
動揺のあまり椅子から転げ落ちそうになりました。

学園長はあくまで手紙を渡しただけであってその中身までは知らなかったのです。
ある意味アリカちゃんより驚いています。


「それともう一つ話があります。」

しかしそんな学園長は他所に置き、っというかむしろ他人の振りをしつつ
再びミス・マリアはアリカちゃんに話を続けるのであった。
貴女はこの自分の制服をバックステージに売り払ったそうですね?――と。
実は、身寄りや後ろ盾のないアリカちゃんには、
学費を払うための一つの手段として自分の制服を売った。という疑惑が掛けられていたのです。
先程のシホさんが言っていたのはそういうことです。


「えぇ?あ、アタシが制服をっ!?」

ミス・マリアの口から出た予想外の言葉に驚くアリカちゃん。
その横で「何だと!?」っと、学園長も驚いています。
――と、書こうと思ったのですが、流石にこの事については知っていた学園長。
今回は椅子から落ちそうになることもありませんでした。


「・・・・・。」コクンッ。「???」

そんな学園長とミス・マリアはこの事を言われて心底驚いているアリカちゃんの様子を観察すると、
互いに顔を見合わせてアイコンタクトを取り、アリカちゃんに一つの事柄を告げるのであった。


「ではアリカ・ユメミヤ!」
「ではアリカ・ユメミヤ!」


「――ッ!?」「――ッ!?」

――と、思ったらちょっと失敗。
アイコンタクトが上手くいっていなかったため、意思の疎通がイマイチでした。
なのでもう一度きちんとアイコンタクトを交わし、
今度はどちらが言うかをちゃんと決めてからもう一度アリカちゃんに向かって二人は口を開きます。


「この件に関する処分だが・・」
「この件に関する処分ですが・・」


「――ッ!?」「――ッ!?」

だからやっぱりハモってしまった二人。
そのある意味完全に意思の疎通が出来ている二人の様子に、
うっ…ナツキのアホぉ……なんでうちを放ってミス・マリアとばっかりお見合いしてはるん??
――っと、扉の外から盗み見ていたぶぶ様もハンカチを噛んで切ない悔し涙を流します。


「・・・・・。」

その後、結局なかなか話が進まなかったため勝手に自室へと戻って来たアリカちゃん。
この件が解決するまでは自室謹慎ですよーっ!?だぞーっ!?という、
部屋を出る際に二人が掛けた最後の言葉はあまり聞こえていませんでした。
そんなアリカちゃんは、手紙を読んで自分のお母さんと手紙の主のことに思いを馳せる一方で、
誰かが自分に嫌がらせをしたのかもしれない。
自分は主人公なのにこの場所では歓迎されていないのかもしれない。
という、ほぼ確定的な事実を前に、激しく落ち込むのであった。


「ニナちゃん・・・アタシ・・本当に主人公なのかなぁ・・・?」

――ちょうどそんな時、その場に相部屋のニナちゃんが帰って来ます。
そんなニナちゃんを前にして、
なんかアタシが主役なはずなのに学園長とシズルさんがメインみたいな感じだし、
アタシって本当に居る価値あるのかなぁ…。ファンの人達も本当はアタシなんかどうでもよくて、
学園長さんやシズルさんやナオさんさえ出ていたらいいんじゃないかなぁ…。

――っと、もうどうしたらいいのか分からなくなっていたアリカちゃんは、
その胸の内をニナちゃんに告白し、どうするべきかの指示を仰ごうとするのであった。


「貴女は・・・貴女は夢のためなら・・・・
貴女がアレだけの想いを見せたから私は・・・ッ!」


そんなアリカちゃんの言葉に対し怒り出すニナちゃん。
ニナちゃんとしては、自分の夢のためにと自分とあれだけの舞闘をし、
そしてその決意の強さ故に過去を覆す例外(主に入学理由)まで作って入学したアリカちゃんが、
そんな理由で自分の夢を諦めかけて弱音を吐いていることが許せなかったのです。


「ウジウジウジウジ・・・なんなのよあの子はぁッ!!」

そしてそんなアリカちゃんに失望したかのような表情を向けて部屋を出て行ったニナちゃんは、
学園の中を早足に歩きながら堪えられない怒りを吐き出し続けます。
そんな真実を言ってしまったら私達の居る意味は無くなっちゃうじゃない!みたいな感じです。


「あぁ〜もうっ!馬っ鹿じゃないの!?」
ズダーンッ!!

そして、最終的にはその辺の木に八つ当たりすることで憂さを晴らしたニナちゃん。
憂さを晴らされた方としてはいい迷惑ですが、三本目のこの木への八つ当たりを最後に、
ようやくニナちゃんの気持ちも落ち着きを取り戻すのであった。


「ぷっくくく・・・あははははっ!
何よこの本www馬っ鹿じゃないのぉ〜?wwww」


そんな三本目の木の上に座っていたのは、
ニナちゃんやアリカちゃんの事情などは知る由も無いナオお姉さんでした。
最近手に入れたばっかりの『玖我なつき〜私はヘタレて悦を知る〜』という本を読み笑っていると、
突如としてニナちゃんによってその木が激しく揺さぶられたため、


グラグラ・・ッ!
「うわ、うわわわぁ〜!?」


「ハッ!」――シュバッ!

・・・スタンッ!

(ふふ、10点満点ね。)

「っていうか、いきなりなんなのよぉ?

池谷直樹もビックリの華麗なジャンプと着地で地面に降り立ち、
ニナちゃんに対して一言言うのであった。
その「馬っ鹿じゃないの!?」っての、アタシのセリフじゃない。パクる気?――と。


ブロロロロ・・・ッ!

そんなニナちゃんを他所に、ニナちゃんの言葉から自分の想いを思い出したアリカちゃんは、
友達のエルスちゃんやイリーナちゃんに協力を頼むとともに自らも一緒に今回の事件の捜査を開始します。
自室謹慎の約束を破ったのは内緒です。(っというか、そもそも聞いてなかったので約束してませんが…。)
っという訳で、まずお部屋係であるエルスちゃんのお陰で、
アカネちゃんに頼んで連絡を取ってもらうことのできた人物に来て貰い――、


「おっといけね、ちょっと前に行き過ぎた。」
ピーッ!ピーッ!

「あれ?今度はちょっと後ろ過ぎたかな?
・・・もうちょっと前に行くか。」

ブロロロ・・・ッ!

「あれ?また前に行き過ぎたかな?」
ピーッ!ピーッ!

来て貰い……


「あぁ、今度はまた後ろに行き過ぎた!」
ブロロロ・・・ッ!

「あれ、また前に行き過ぎた!?
おかしいなぁ、これアクセル壊れてるんじゃないの!?」

ピーッ!ピーッ!

「あれぇ〜?今度はブレーキまで壊れたのかなぁ?
また後ろに下がりすぎちゃったよ・・・。」

ブロロロ・・・ッ!「「「・・・・・。」」」

まぁ取り敢えず来て貰い……
そして、先に調べておいてもらった制服が売られた店であるバックステージの情報を、
その時の聞き込みで得たという話を、聞かせて貰うことになったのであった。


「なるほど、じゃあ売りに来たのは男の人なんですね?」
「カズヤ・クラウゼクさんは、
アカネお姉様のどの辺に惚れ込んだんですか?」


「うん、僕はこう見えて結構モテないんだ。
それなりにはジョークとかも上手いんだけどね、
例えばほら「血液型何型?くわがた!」
・・なぁ〜てね?ははは!」


「な、なるほど!血液型はくわがた・・っと。」
「なっ、何をメモしてるのイリーナちゃん!?」

「あっ!あと鉤裂きなんですけど、
あれを繕ったのはお店の人なんですか?」

「他にはどんな持ちネタがあるんですか?」


「うん、僕はこう見えても結構アニメが好きでね。
最近見たのはプリキュアかなぁ?」


「な、なるほど!プリキュア・・っと。」
「多分1の事だよ、イリーナちゃん。」

「あっ、じゃあこれで最後の質問になるんですけど、
その売りに来た男性は、
何処で制服を手に入れたかについて言ってたんですか?」

「お姉様はオトメですけど、
純粋にプラトニック・ラヴなんですか?」


「うん、僕はこう見えても結構甘い物が好きでね。
最近ではある政党にも所属する事に決めたんだ。
え、どんな政党かって?甘納党!
・・なぁ〜んちゃって!ははは!」


(ちょ〜寒い・・・ッ!)
(今更だけど、この人・・全然人の話聞いてない!)







そして終わった聞き込み捜査。何も手がかりは無く、
分かったのはカズ君の血液型とアニメの好みと所属政党だけという事実に、
落ち込むアリカちゃんと喜ぶアカネちゃん。
一方で、その噂を聞いて駆けつけて来たマシロちゃんは、
アリカちゃんの失態に大喜びし、大笑いを始めます。


「にゃあぁぁぁ〜!!?」
ビリビリ〜ッ!


そんな時、やって来たマシロちゃんの声を聞いて、
その飼い猫であるミコトが木の上から飛び降りようとして失敗。
その際に銜えてたハンカチを破いてしまいます。
その様子と、そのハンカチが昨日のアリカちゃんの制服を拭いてくれたトモエちゃんの物である事を見ると、
何かに感づいたイリーナちゃんは皆を学園長室へと連れて行くのであった。


「ふむ・・で、一体何が始まるんだ?」

そして学園長室へとやって来た一行。
重要な話があるという事で集められた憮然と構える学園のお偉い三人衆を前に、
イリーナちゃんは自分が気付いた重大な事実を告げるのであった。
間違ってもお笑い三人衆ではありませんので、間違いにはお気をつけ下さい。


「はい。実は・・・、
この度の制服盗難事件の犯人が判明したのです!」


イリーナちゃんが気付いた重大な事実とは、犯人の目星が付いたという事でした。
その言葉を聞いた一同はアリカちゃんを筆頭に驚きの表情を浮かべ、
そして固唾を呑んでイリーナちゃんから紡がれるであろう次の言葉を待つのであった…。


「・・・? 何の話だそれは??」

――っと思ったら、学園長から紡がれた次の言葉。
この件についてすっかり忘れていた学園長は、うっかりアリカちゃんの前で口を滑らしてしまいます。
幸い、イリーナちゃんの言葉に意識が行っていたアリカちゃんには聞こえなかったのですが、
このままでは困った事になってしまうため、
ココで無駄にカッコイイ顔をしたぶぶ様が学園長に救いの手を差し出すのであった。


「学園長・・アリカさんが制服を売ったかどうかの事件どすえ。」
「あ、あぁ・・そ、そうだったな。・・・すまない、シズル。」

「コホンッ!」

「えと・・その・・・」

「で、では・・その話を詳しく聞かせてもらおうか、
イリーナ・ウッズ。」

(流石はうちのナツキ。やれば出来る子どすな。)

そして気を取り直した学園長はイリーナちゃんに詳細を話す様にと促し、
言われたイリーナちゃんは今回の事件の顛末について話し始めるのであった。


「私たちは皆、
アリカちゃんの制服が洗濯場から無くなった事と、
その制服が売られた事が一つの事件だと思っていました。
ですが実際には違っており、
それぞれは別の事件だったのです!」


イリーナちゃんは続けます。
そう…まず、昨日アリカちゃんが制服を無くした時、
アリカちゃんの制服にはミコトがひっくり返したトキハダケのスープが大量に掛かっていました。
トキハダケはミコトの好物です。そして先程ミコトが破いたハンカチ、
これはそのアリカちゃんの制服を拭いたトモエちゃんのハンカチでした。
これには当然トキハダケのスープが沢山付着しています。
実際、さっき試しに匂いを嗅ぎましたが、
トモエちゃんの香水がドギツイって事がよく分かりました。鼻が取れそうです。
つまり、スープを拭いただけのトモエちゃんのハンカチですらミコトは持ち出したわけですから、
その元になったアリカちゃんの制服から発せられる強力な匂いであれば、ミコトが見逃すはずはありません!
そしてミコトは制服を持ち出したわけですが、
最終的には学園の外に持ち出す際にこのハンカチと同じ様に引っ掛け破いてしまった。
そして、偶然そこを通り掛かった男がその制服を見つけ、バックステージへと売った!


「コレこそが事件の真相!コレこそが真の名推理!
コレこそが名探偵イリーナの伝説の始まりなのです!」


――っと。このあまりにもザル過ぎる、
特に下から二行目とラスト一行目の間で凄まじく飛躍している迷推理に対し、


((いや・・それは・・・ないでしょ?))

一同は呆れを通り越して最早ビックリ!
よくそんな堂々と言えるな。みたいな感じで、心の中で思わず突っ込んでしまいます。


(す、凄い!なんていう名推理だ・・ッ!)

でも学園長は激しく感動中。
その表情からも分かる通り、今にも拍手を叩いてブラボー!とか叫びだしそうな雰囲気です。


「――アタシ決めました。
アタシを信じて助けてくれた友達がいたように、
アタシもこの手紙の人を信じてみようと思います。」


そんな学園長は他所に置き、どう考えても推理はおかしいのですが、
一応全てはマシロちゃん(ミコト)の所為という事で事件解決の目処がついた。
みたいな感じの空気が漂い出したため、

これぞチャンスとばかりにアリカちゃんは前に進み出で、
そして上手い感じに話を纏めて強制的に追求を躱すことに成功するのであった。






「とんだ茶番ですね・・。
あのような穴だらけの推理で認めてしまうなど・・・。」


――その日の夜。
表向きは解決した事になったとはいえ、
実際にはどう考えても他に真犯人が居るであろうと思われるこの事件に対し、
そして、あっさり認めてアリカちゃんに渡してしまったあの差出人不明の手紙の事についても、
些か早計過ぎやしませんか?――と、ミス・マリアは学園長に対してその危惧を訴えます。


(あの推理が穴だらけ・・・??)

でも、あの推理のどの辺が駄目なのかについてまだよく判っていなかった学園長。
どの辺が駄目なんだろう…?とか思っています。なので、


「ま、まぁ、いいじゃないかミス・マリア。
あの素晴らしい名推理のお陰で当面の危機は去った訳だし、
それに手紙の事についても、蒼天の青玉の出所や、
アリカの出自に関する情報を掴めそうなのは、
このことぐらいしか無いのだからな・・・。」


――っとか、言っちゃうのであった。
特に二行目に注目です。皮肉ではなく本気で言っています。
しかし、学園長の言っていること自体は事実であり、
アリカちゃんの出自やアリカちゃんが首に掛けている蒼天の青玉の出所について知るということは、
その本来の持ち主であったレナさんに関する情報や、
あわよくば、そこからそれが紛失するキッカケとなった14年前のヴィントの騒乱の時の情報、
そして、その事で必ず付き纏ってくる「真の姫の問題」についても分かるかもしれないという大きな事
であるため、
14年間待ってようやく降って湧いた折角の手掛かりを逃す訳にもいかないと、
ミス・マリアも渋々ながら学園長の話を肯定して受け入れるのであった。


「へへっ・・良い臨時収入があってよぉ・・・。」

「へぇ〜?そぉんなに高く売れたんだぁ〜・・
ガルデローベの、せ・い・ふ・く!」


「な、なんでお前がそれを――ッ!!?」

そしてそれぞれの夜は更けていきます―――。


「・・・ですが学園長。
先程のことで一つだけ言わせて貰うなら、
推理の前に付ける“めい”の字が少し間違っていますよ?
正確には「名」ではなく「迷」の方です。」


(・・・えっ、何で??)

でも全部は肯定してくれませんでした……。



次回へ続く。







<伝説の没カットシーンその2>




「ニナちゃん・・アタシ・・・
この学校にいちゃいけないのかなぁ・・・。」



「がるるるるっ!!!」


「え、えぇ〜っ!!?」